歯周病と妊娠・出産は関係ありますか?

口腔内で増殖した歯周病菌は、歯や歯肉だけでなく全身疾患にも関りがあることが分かってきております。

 

女性の妊娠期は体や心にも大きな変化を与え、お口の中に常駐している歯周病の細菌も赤ちゃんの出産に影響してきてしまいます。

 

今回は歯周病と妊娠・出産の関係についてお話して参ります。

 

歯周病と妊娠・出産は関係ありますか?

歯周病と関連する疾患は糖尿病・心臓疾患・誤嚥性肺炎・早産・低体重児出産などが挙げられています。

 

近年、歯周病と関連する産婦人科の疾患として妊娠性歯肉炎早産・低体重児出産以外に妊娠高血圧腎症妊娠性糖尿病なども報告されております。

 

合わせて一般的に妊娠すると歯肉炎になると言われており、エストロゲンという女性ホルモンが歯周病菌の増殖を促してしまいます。

 

他にもプロゲステロンというホルモンが炎症の元を刺激し、歯肉が腫れ出血しやすくなります。

 

妊娠性歯肉炎とはなんですか?

妊娠する事で体内のホルモンバランスが変化し、普段と同じブラッシングをしていても歯肉が腫れてきてしまうことがございます。

 

それが妊娠性歯肉炎と言い、症状そのものは普段の歯肉炎と同じ出血・腫れ・痛みなどを感じます。

 

多くの場合妊娠5~20週ごろに歯肉の腫れなどが見られはじめ、32週ごろになると口臭を感じる方もいらっしゃいます。

 

妊娠性歯肉炎はプラークコントロールをすることで、症状を軽減させることができます。

妊娠性歯周炎1

 

早産・低体重児出産とは?

まず早産とは妊娠22週~37週未満の出産のことを指します。

 

低体重児出産とは赤ちゃんの体重が2500g未満の新生児が生まれてきた時のことを指します。

 

その発生率は5~20%と言われており、その原因は細菌性膣炎・絨毛羊膜炎・前置胎盤などが挙げられております。

 

リスク因子としては喫煙や年齢、人種なども関係しておりますが、原因不明な症例もあるとされています。

 

なぜ歯周病の人は早産や低体重児出産になるのですか?

歯周病菌がお口の中から発生させた炎症物質や増殖した細菌が、血管内に入り込むことで子宮内まで運ばれてしまいます。

 

子宮内に運ばれた炎症物質の影響や、胎盤や子宮に歯周病の細菌が感染することで早産低体重児出産が引き起こされてしまいます。

 

歯周病の妊婦は早産に対しては1.7倍、低体重児出産に対しては2.11倍、早産低体重児出産に対しては3.57倍の危険率が上がります。(2011年の研究結果より)

妊娠性歯周炎2

 

歯周病と妊娠高血圧腎症との関りは?

妊娠高血圧腎症とは、妊娠20週以降に初めて高血圧が発症し、タンパク尿も伴う状態の事を指します。

 

全妊婦の3~4%の方が発症する異常妊娠の代表的な疾患です。

 

妊娠高血圧腎症は重度歯周炎だった場合は2.4倍、妊娠中に歯周病が進行してしまった場合は2.1倍も危険率が上がってしまいます。

 

歯周病と妊娠糖尿病の関りは?

妊娠糖尿病とは、妊娠中に糖尿病を発症した場合や初めて認識された耐糖能異常のことをいいます。

 

そもそも歯周病菌は糖尿病と深い関係があり、歯周病菌が発生させる炎症物質がインスリン抵抗性をもたらし血糖コントロールに影響を与えてしまいます。

 

妊娠性糖尿病も同じように歯周病の細菌の英城で血糖コントロールができにくくなっていると考えられています。

 

妊娠期の歯周病対策はどうしたらいいですか?

妊娠前にしっかり歯周病治療をしておく

妊娠を考えるタイミングの時に歯医者にてしっかり歯周病の治療を事前に受けておくとよいでしょう。

 

まずは定期健診を毎回しっかり受けて、歯石取りとクリーニングを受けていれば大きな心配はないかと思います。

 

かかりつけ歯科医を作り、普段からしっかりお口のケアをしておきましょう。

 

つわり時期は歯磨きの方法を工夫しましょう

つわりが始まると歯磨き粉の臭いが気持ち悪く感じることや、歯ブラシを奥まで入れると嘔吐反射が出やすくなります。

 

歯磨き粉はなるべく風味のない物を選ぶが、つわりが辛い間は歯磨き粉をお休みしていただいても構いません。

 

歯ブラシはなるべく小さめのものに変え、場合によってはワンタフトブラシで奥を磨くと嘔吐反射が出にくいです。

 

それでも辛い時はうがいだけでもしてあげると、お口の中の菌を減らしてあげることができます。

 

もし大丈夫そうであれば、一緒にうがい薬も併用すると良いでしょう。

妊娠性歯周炎3

 

水分補給を積極的に行いましょう

 

唾液には自浄作用(お口の中の細菌を減らす作用、汚れを洗い流す作用)と再石灰化作用(初期虫歯を回復させる作用)などがあります。

 

ところが妊娠するとホルモンのバランスで唾液の分泌量が少なくなりますので、上記のような唾液の力が弱まってしまいます。

 

そのためしっかりまめに水分補給をし、お口の中の乾燥を防ぐようにしましょう。

 

安定期に入ったタイミングでしっかり歯科治療を開始しましょう

安定期に入るとつわりも落ち着いていることが多いので、しっかり歯科治療を受ける事を考えましょう。

 

歯周病治療だけでなく、虫歯の治療も一緒に行いお口の中を綺麗にしておくと赤ちゃんに菌も移りづらくなります。

 

特に産後しばらくはなかなか歯医者に通えない方が多いので、妊娠中からしっかりメンテナンスされるのをおススメします。

 

妊婦歯科検診を積極的に受けましょう

市区町村の助成で妊婦歯科検診が受けられるのであれば、積極的に行いましょう。

 

特にご本人がお口の中に異常を感じなかったとしても、歯科医師が拝見することで早期発見早期治療することができます。

 

母子手帳をもらうタイミングで案内がある場合が多いので、体調がいい時に健診を受けるようにしましょう。

 

歯肉炎が辛い時はどうしたらいい?

上記で挙げた通り、妊娠中は歯肉が腫れやすくなります。

 

今まで使用していた歯ブラシですと痛みを感じる事や、歯肉から出血してしまう事もあるでしょう。

 

その時は一時的にやわらかめの歯ブラシに変え、歯肉にあまり負担をかけないようなブラッシングをおすすめ致します。

 

歯ブラシと合わせて歯間ブラシやフロス、ワンタフトブラシなどを使用すると丁寧なブラッシングができますので歯科医院にて相談してみてくださいね。

 

歯周病対策も考え妊娠時のリスクを緩和しましょう

 

妊娠は歯周病だけでなく、色々なマイナートラブルに悩まされる方は少ないと思います。

 

特に近年は女性の妊娠出産年齢が高齢化により、更に様々なリスクを抱える妊娠出産が多くなっております。

 

妊娠出産時のリスクを少しでも減らせるように、一緒に治療とクリーニングを頑張っていきましょう。

 

糖尿病4

 

 

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