歯周病と糖尿病
歯周病は糖尿病の合併症です
歯周病は糖尿病の第6の合併症といわれています。糖尿病患者では歯周病の発症や進行リスクが高く、歯周組織においても、免疫機能の低下などが起こり、歯周病原菌に感染しやすく、組織の破壊が起こりやすくなるためです。
高血糖状態では血中のタンパク質が糖化されており、糖化されたタンパク質は免疫細胞(マクロファージ)を刺激して、炎症性サイトカインTNF-αを過剰に産生され、歯周病の炎症症状を強め、歯周組織に破壊を招くと考えられています。
歯周病の治療で糖尿病もよくなる
糖尿病患者の歯周病を治療することで血糖コントロールが改善し、重症度の指標である血中HbA1c濃度が0.5~1%低下するとの報告があります。これは歯周組織から分泌される炎症性サイトカインTNF-αが抑制されて、インスリン抵抗性が改善されるためと考えられています。
歯周病と心臓病
歯周病と心臓の病気の関係
歯周病(歯槽膿漏)が悪化して、歯周病菌が血液中に流れ込み、心臓の内膿に歯周病菌が付着すると、心内膜炎という心臓病を引きおこすことがあります。これは、死に至ることもある大変危険な病気です。さらに、歯周病(歯槽膿漏)が狭心症や心筋梗塞などの心臓病のリスクを高めることもわかってきました。
歯周病は、動脈硬化・狭心症・心筋梗塞など心臓病のリスクを高めます
動脈硬化とは、血管が厚く硬くなり血管の内側が狭まる病気です。これが、心臓の筋肉に栄養を送る冠動脈(下図参照)におこり、血管が狭くなったり(狭心症)、詰まったりする(心筋梗塞)のが虚血性の心臓病です。
歯周病菌が動脈硬化をおこしている血管に付着すると、血管を狭める作用を促進すると考えられています。それが冠動脈でおこれば、虚血性の心臓病となるのです。動脈硬化をおこしている血管の細胞から、歯周病菌が検出されているとの報告があります。
歯周病とからだの病気
歯周病(歯槽膿漏)は口の中だけの病気ではありません。
様々な病気と密接に関係しています。歯周病(歯槽膿漏)の治療と予防は、歯を守るにとどまらず、全身の健康を保つのに欠かせないのです。
この他にも最近では、がんなどとの関わりも指摘されています。歯周病(歯槽膿漏)になるとこれらの病気のリスクが高まるだけでなく、これらの病気があると歯周病(歯槽膿漏)が悪化するなど、互いに悪循環を招く関係にある場合もあります。
でもご安心ください。歯周病(歯槽膿漏)は予防できる病気です。
自覚症状がなくても定期的に歯科を受診し、メンテナンスを受けましょう。
歯周病と喫煙
喫煙は歯周病の大きな危険因子です
歯周病(歯槽膿漏)にとって非常に大きなリスクは、喫煙 タバコが、がんや心臓病、脳血管の病気など、命に関わる病気の原因になることはすでによく知られています。
実は、歯周病(歯槽膿漏)にとっても、喫煙はもっとも大きな危険因子です。
タバコを吸うとまず直撃されるのが口の中です。歯と歯ぐきにニコチンなどの有害物質が悪影響を与えます。からだの抵抗力を弱めたり、末梢の血管を収縮させ、歯ぐきの血液循環を悪くしたりします。また、タール(いわゆるヤニ)が歯にこびりつくと、歯みがきでは簡単に取れず、歯垢がつきやすい環境になってしまいます。そのため、歯周病(歯槽膿漏)になりやすく、治りにくくなります。 歯と歯ぐきのためにも全身のためにも、また、周囲の人のためにも、禁煙しましょう。
喫煙本数と歯周病の関係
ヘビースモーカーの方は、喫煙しない人に比べ、歯周病(歯槽膿漏)に5倍以上なりやすいことがわかっています。